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A Fickle Child Psychiatrist

ー移り気な児童精神科医のBlogー

アメリカにおける自閉症スペクトラム障害の子どもの進路調査

アメリカで特別支援教育を受けた自閉症スペクトラム障害の若者の、中等教育修了後(高校卒業後)の進路などについての調査研究が発表されています。

 

Postsecondary Education and Employment Among Youth With an Autism Spectrum Disorder

Pediatrics. 2012 May 14. 

 

アメリカ小児科学会誌に掲載されている英語の論文ですが、全文が無料公開されているので、リンク先から全て読めます。

 

この研究はアメリカで特別支援教育を受けた子どもについての大規模追跡調査 NLTS2 から得られたデータを分析したものです。日本でもこのような調査がなされるとよいのですが、残念ながら自分の知る限りでは、ここまで大規模なものは行われていないと思います。

調査の対象はアメリカの学校で特別支援教育を受けたことのある自閉症スペクトラム障害の子ども680人で、比較のために会話・言語障害(470人)、学習障害(460人)、精神遅滞(430人)の子どもについても調べられています。ただし医学ではなく教育領域での調査なので、厳密な医学的な診断基準は必ずしも用いられていないません。

対象の子ども達の調査時点の年齢は19歳〜23歳です。アメリカでは特別支援教育の対象になっていると21歳まで高校にいることもできるようなので、そうした子どもも対象になっています。

 

結果を見ると、対象となった自閉症スペクトラム障害の子ども達のうち、55.1%が就労を経験しています。もう少し詳しく見ると、卒業後1-2年ではその率は21.7%ですが、4-7年になると85.9%に上昇しています。短大もしくは4年制の大学への進学も卒後4-7年では68.6%に昇っています。

一方で、卒後すぐの子どもの場合、58.5%が教育や就労に参加できていません。卒後4-7年では11.1%に下がるので、いずれどこかには結びついてくるということになるのですが、スムーズな移行は難しいようです。ただアメリカでは教育、職業的キャリアを切れ目なく繋ぐことに、日本ほどの執着がないのかもしれません。そのあたりあまり知識がないので、このデータの解釈は少しよくわかりません。他の障害カテゴリーの子ども達に比べると、卒業直後の不参加の率は明らかに高いので、やはり自閉症スペクトラム障害特有の移行期の難しさがあるのだと思われます。

注目しないといけないのは、親や養育者の所得が低い場合、不参加のリスクが上昇するという点でしょう。やむを得ないことなのかもしれませんが、残念な結果です。サポートの方法を考えていく必要があるでしょう。また functional skills が高いと教育や就労への不参加のリスクは低下します。

 

全体を通してみるとやはり移行期の支援が重要であること、特に貧困な家庭の子どもにより手厚い支援が必要となりそうなことがわかります。日本の状況もぜひ知りたいところですね。