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A Fickle Child Psychiatrist

ー移り気な児童精神科医のBlogー

DSM-5における「V軸」の扱いー国際生活機能分類(ICF)への接近?ー

2013年5月の刊行を目指して、アメリカ精神医学会により精神疾患の診断、統計のためのマニュアルである DSM-5 の開発作業が進められています。この中で機能評価に関わる部分も大きな改訂が行われるようです。

 

現行のDSM-IV-TRでは多軸評定と呼ばれる評価方法が導入され、以下の5つの軸から、多角的に評価を行うこととされています。

  • 第 I 軸 臨床疾患、ないしは臨床的関与の対象となりうる他の状態。
  • 第 II 軸 パーソナリティ障害および知的障害
  • 第 III 軸 一般身体疾患
  • 第 IV 軸 心理・社会的、および環境的障害
  • 第 V 軸 機能の全体的評定

DSM-5では、この多軸評定の構造が大きく変わることになるようです。

Classification Issues Under Discussion| APA DSM-5 

大ざっぱに言うと、I - III軸が統合され、IV 軸はICD -10 で採用されているコードかそれに近いものが導入されることになるようです。IV 軸で利用されるのは下記の中の「Z55-Z65 社会経済的環境及び社会心理的環境に関連する健康障害をきたす恐れのある者」あたりの部分となるのでしょうか。

ICD-10 第21章 健康状態に影響を及ぼす要因及び保健サービスの利用 (Z00-Z99)

 

そしてこの記事で中心的に取り扱う第 V 軸は 現行のDSM-IV-TRでは、GAF (Global Assessment of Functioning)尺度が用いられています。下記のページにその解説がありました。

機能の全体的評定(GAF)尺度 - GAF Scale

GAFはとてもシンプルで評定しやすく、現在では精神科の診療報酬評価の中にも組み込まれています。

 

DSM-5ではこの機能評価の部分に、国際生活機能分類(ICF) のコンセプトが導入されるという方針が検討されています。

Finally, regarding Axis V, which allows clinicians to rate a patient’s overall level of functioning, the Impairment and Disability Study Group is discussing ways in which disability and distress can be better assessed in DSM-5. They have recommended that DSM-5 more closely follow the concepts outlines in the WHO International Family of Classifications, in which disorders and their associated disabilities are conceptually distinct and assessed separately.

 

Classification Issues Under Discussion| APA DSM-5 より 

DSM-5では全体にWHO が開発している分類体系である Family of International Classifications整合性の取れるものにしようという大方針があるようです。 国際疾病分類(ICD)や国際生活機能分類(ICF)はいずれも Family of International Classifications の一部に含まれています。

 

さてICFとはなんでしょうか。これは医療関係者には現時点ではいまいち馴染みのないものかもしれませんが、福祉領域では高く評価されることの多い分類体系です。ちょっと見づらいページなのですが、厚生労働省のサイトにその解説が掲載されています。

「国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-」(日本語版)の厚生労働省ホームページ掲載について

 

 書籍の形でも出版されています。

ICF 国際生活機能分類―国際障害分類改定版
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