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A Fickle Child Psychiatrist

ー移り気な児童精神科医のBlogー

心理職国家資格化 法案提出への動き

Psychology General Psychiatry

最近の動向

 久々に心理職の国家資格化の件について大きな動きがありました。また国会への上程が視野に入るような状況になってきているようです。今回(?)の動きについて、ごくごく簡単にかいつまんで並べてみます。
 
平成23年10月2日
3団体(臨床心理職国家資格推進連絡協議会:22団体、医療心理師国家資格制度推進協議会:25団体、日本心理学諸学会連合:45団体)による要望書提出。
 
平成25年4月1日
 
平成25年9月吉日
日本心理研修センター、国家資格化に係る『試験・登録機関』に指定されることを要望
 
平成25年9月19日
精神科七者懇談会より『心理職の国家資格化に関する提言』。
 
平成26年4月21日
『心理職の国家資格化を推進する議員連盟』会長、衆議院議員河村建夫氏が、5月中の法案提出を目指す旨をFacebookページで公表。
 
 大ざっぱにはこんなまとめでよいでしょうか。なんとか今回こそ法案成立までたどり着いて欲しいところです。以下に少し私見を述べてみます。
 

 

 自分は国家資格化の第一の目的は消費者保護だと思っていますが、そういうコンセンサスは得られていると考えてよいのでしょうか。そうであれば、その目指すところは、消費者基本法第5条第1項にならえば「クライアントの安全及びクライアントとの取引における公正を確保すること」ということになるかもしれません。その場合、
 
(1) 有害なほど質の低いサービス提供者を排除する
(2) 不必要なサービスを高い値段で買わされたりしない

 

などが具体的な目標になりそうです。もう一つ、心理サービスが消費者にとって不可欠なものであるとすれば、

 

(3) 必要とする人は低コストでサービスが利用できる

 
 とかも入れたいところです。
 
 現状でもっとも問題だと感じるのは、心理系の諸資格が乱立しており、消費者からみたときにわけがわからない状況になっていることです。下記をお読みいただくといかに多くの資格があるかおわかりいただけると思います。
 この一点だけを考えても、国家資格化を急ぐ理由があると思います。そういえば国家資格化と関わる、もう一つ別の側面の消費者保護がありました。資格商法に対しての消費者保護、これも案外無視できないかもしれません。
 
 質の高いサービスの提供を保証するということももちろん必要なのですが、その部分を公権力で行うのはどうにも筋が悪くなります。それは他の業界でも同じでしょう。医師免許は国家資格ですが、それ以上の質の保証は、今のところは民間(学会)で行っています。質の向上については、むしろ市場原理的な競争などが役立てられるべき領域だと思います。既存の諸資格が競い合うフィールドになるとよいのかもしれません。こんな風に考えると、ロテ職人さんの "むしろ「役に立たない資格」にすべき” という見解は、至極真っ当であるように思われます。
 
 国家資格化を通じて、一定の養成カリキュラムと資格によって安全性がおおむね保証された、標準的なサービスを、比較的低コストで供給することによって、現状よりは消費者が守られやすくなるのではないでしょうか。そういう意味で「公認」というのは言い得て妙なネーミングだと思います。名称独占の資格というのはだいたいこんな目的で作られているのではないかと思いますが、どうなのでしょうか。心理職の国家資格が、業務独占ではなく名称独占なのは、外縁が広くてあいまいな心理サービスの性質によくマッチしていて、しっくりくる感じがします。骨子案の中身をまだ見られないので、なんとも言えないところもありますが、漏れ出てくる内容を見聞きする限り、そんなに悪くない感じがします。非医療領域の医師の指示以外は……。
 
 どうやら現時点で検討されている案には、主治医がいる場合、非医療領域であっても医師の指示を要する、という内容が盛り込まれているようです。これが役立つ場面があるとすれば、現任者にひどく緩い条件での資格取得を許可して、最低限の質の保証すらできなくなった場合くらいでしょうか。それは本来の立法の目的に反するように思います。現任者の資格取得にそれなりの条件を課した上で、非医療領域での医師の指示を外す。それが望ましい形であるように思います。